痛みに対してサプリメントでできることって?鎮痛薬も解説。

栄養・健康

首も痛い。腰も痛いし。肩もこる。
薬も効くんだけど、根本的に治したい!

必要な栄養素の不足で痛みやすい、ってことがないようにしたいですね。

自分でもできることがあります。

痛ければ、鎮痛薬を飲めば良い。

確かに長く続く痛みは、薬の力をうまく利用して、抑えることも大切です。痛みは、脊髄が学習して、より痛みを感じやすくなってしまいます

病院で処方される鎮痛薬についても、どこに作用してどう効くのか、簡単に説明していますから参考にしてください。

忙しい方は、ハイライトしたところだけ、目を通してください。

痛みの目的とは

安静を促し、治癒を早めることで、怪我や炎症を早く治癒させること。

怪我を起こすような物理的な刺激を、痛みとして伝えることで、体に警告を発し、避難、防御体制に入らせて、傷を回避、または浅く済ませるため。

痛みの刺激は電気信号となって神経を伝わり、二つの脳の部位へ同時に到達します。

  • 大脳皮質の体性感覚野
    痛む場所を判断するところ。痛み感覚担当。
  • 大脳辺縁系
    快適・・を担当する場所(側坐核、線条体)が不活化・・・するか、不快・・を担当する場所(扁桃体、帯状回前部)が活性化・・・するか、もしくは両方同時発生、によって、不快と感じます。

痛みと不快感が同時に脳に伝わります。

痛いと落ち込んだり、元気がなくなるのは、大脳辺縁系にも同時に痛み刺激が伝わるからですね。

痛いとイラつくのは普通なのね。でも、怪我してないけど、肩も腰も痛いんだけど?なんで?

痛い時何が起こっているのか

痛みの原因となる刺激(ぶつける、刺す、捻る、火傷、虚血、感染など)が生じると、これは電気刺激となり、神経を伝って脳が痛みを感じます。この時痛みの原因となる物質:発痛物質が、炎症のある場所から放出され始めると、神経終末をさらに刺激して、痛みが持続。発痛物質が出続ける限り、痛みは引きません。

炎症は、障害を受けた組織を、守り、修復再生する過程、のことです。炎症がなければ、痛みは起こりますが、一時的で、持続しないということです。

炎症部位から放出される発痛物質

作用は2つ

  • 痛みを起こさせる作用
  • 痛みを増強させる作用

発痛物質は炎症部位から産生されますが、炎症部位では多種の発痛物質が混在しており様々な痛みを生み出します。

痛みに関与する発痛物質とは?
どんなものがあるのでしょうか。
見ていきましょう。

痛みの発生に関与する物質

痛み刺激は、
炎症部位→神経を伝わり→脊髄後角で乗り換え→次の神経へ伝わり→脳へ 
と伝わります。

血液の中から赤血球や白血球などの血球成分を除いた後に残る、血漿成分の中に、多くの発痛物質が含まれています。常に血管の中を流れていますが、普段は痛みを引き起こしません。しかし、一旦血管が傷ついたり、炎症で血管が拡張、透過性が亢進すると、発痛物質が血管外に出ます。神経終末に到達した発痛物質によって、痛みの刺激は神経を伝い脊髄に向かいます。

痛みの電気信号は神経を伝って脊髄の中に入り、脊髄の後角という部位で、次の神経に乗り換えて、脳に向かいます。この神経の乗り換え部分、間隙をシナプスと呼びます。このシナプス間隙に神経伝達物質が神経から放出されると、次の神経が興奮して、痛み刺激が電位として、脳に向かって伝わります。

では

  • 痛みを起こす物質
  • 増強させる物質
  • これらを抑制してくれる物質

をそれぞれ紹介します。

痛みを起こさせる物質

  • ブラジキニン 
    血管の損傷などで血管外に出ると、痛みを引き起こす電位を起動。低温高温による痛み刺激の感受性を高める。また、激しい運動などの酸素欠乏で乳酸が蓄積し、アシドーシスになるとキニノーゲンからブラジキニンが産生され、発痛。
  • ヒスタミン 
    アレルギーや炎症反応で放出。末梢神経に作用して、発痛。
  • グルタミン酸 
    神経伝達物質 神経を脊髄後角で乗り換える際に、神経細胞間のシナプスという間隙に放出される。これにより、次の神経へ伝導が開始する。
  • サブスタンスP 
    神経伝達物質 グルタミン酸同様に、シナプス間隙に放出されて、痛みを伝える神経回路を活性化。グルタミン酸の反応を強化する。慢性痛に関与。 
  • サイトカイン 
    炎症部位から放出される。神経終末に作用して痛みを引き起こす。
  • アセチルコリン 
    プロスタグランジンの放出を促す。
  • カリウム 
    酸欠状態ではエネルギーATPが枯渇し、細胞膜でのイオンの出し入れができなくなるため、細胞外液のカリウム濃度が上昇。神経終末周囲でカリウム濃度が上昇することになり、神経の活動電位が上昇して、痛みが伝わる。
  • 水素イオン 
    筋トレなどで筋肉に必要な酸素が欠乏すると、乳酸が蓄積。乳酸の水素イオンが痛みを感知する受容体を活性化します。
  • ドーパミン 
    脳内で作られる神経伝達物質 痛みを抑制 痛みが長期化するとドーパミンが減って行き、鎮痛効果が低下
  • セロトニン 
    神経伝達物質 痛みが長期化するとセロトニンが減っていき、鎮痛効果が低下。脊髄の後角で働く時は鎮痛作用。神経終末にあるセロトニンは発痛作用。
  • など

やだ、多い!

痛みを増強させる物質

  • プロスタグランジンE 
    炎症部位から産生される。アラキドン酸から生成され、痛みや熱、腫脹を引き起こす。痛みを感じる神経終末に作用。

痛みを抑制する物質

神経が脊髄後角で次の神経に乗り換える際、シナプス間隙で放出される物質の中に、神経の伝達を抑制するものがあります。痛みを和らげてくれる物質です。

痛みを和らげる物質
  • セロトニン 
    グルタミン酸の放出を抑え、痛みの伝達を抑制
  • ノルアドレナリン 
    グルタミン酸の放出を抑え、痛みの伝達を抑制
  • GABA
  • アデノシン
  • グリシン
    など

これらはシナプス間隙での伝達を阻止して痛みを緩和します。

幸せで穏やかに暮らして、セロトニンがたくさんあれば、痛みは感じにくいってこと?

そうね。

鎮痛にはシナプス間隙にセロトニンが放出される必要がありますね。

痛みを抑えたいなら?

じゃあ、痛みを押さえるにはどうしたら良いのか・・・

  1. 炎症や痛み刺激のあった部位から出てくる発痛物質の放出を押さえる
  2. 痛みが神経を伝わって脳に到達しないようにする
  3. 痛みを抑制する物質を出させる

痛みを増強させる物質を押さえ込む

プロスタグランジンEは痛みを増悪・・させる発痛物質。

炎症の場で産生され、抗炎症薬によって押さえることが可能な物質です。

細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が産生され、これが細胞内の小胞体や核膜に結合しているシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きによって、ブロスタグランジンが産生されます。

COX1とCOX2とは

シクロオキシゲナーゼ(以下COX)には、COX1とCOX2の2種類あり、

  • COX1
    プロスタグランジンEを常時産生し続ける。プロスタグランジンEは腎臓や胃の細胞の血管拡張と血流改善をもたらし、細胞の構造と機能を維持するのに必須。
  • COX2
    炎症の場でサイトカインの働きにより産生される。炎症が強いほど産生量も増加。これによって炎症時にプロスタグランジンEが産生されると→痛みの増悪

要するに
COX2の働きを抑えて、プロスタグランジンEの産生を抑えられれば、痛みの増悪は抑えられる。

COX2を抑えてくれる薬

COX2の働きを抑えてくれるのが、NSAIDsです。

非ステロイド抗炎症薬:NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs)

これはCOXの阻害作用のあるお薬です。

COXを阻害する仕組みには4種類の機序があり
どんな種類があるかというと・・

  • アリール酢酸系
    ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)インドメタシン(インダシン)など
    COX1とCOX2の両方に結合・・・・・して構造を変化させて、アラキドン酸からプロスタグランジンEが作れないようにする。
  • コキシブ系
    セレコキシブ(セレコックス)
    COX2のみ・・に作用して、働きを阻害。
  • アントラニル酸系
    イブプロフェン(ブルフェン)メフェナム酸(ポンタール)
    COX1とCOX2の両方に結合・・・・・。この結合は可逆的・・・。アラキドン酸と結合部位を競合するため、アラキドン酸が多ければ、プロスタグランジンEが産生されてしまう。
  • サリチル酸系
    アスピリン
    COX1とCOX2の両方に結合・・・・・。結合は非可逆的・・・・。アラキドン酸の代謝は進まず、プロスタグランジンEの産生は抑制。

COX2だけでなく、COX1に対する抑制作用もある薬を飲む場合は、腎障害や、消化管の潰瘍を作るリスクが伴います。長期内服するならば、胃粘膜を保護する胃粘膜保護剤などを併用することが大切です。

胃は丈夫なんで胃薬いらないです、っていう方が時々おられますが、長期飲むなら胃腸障害は注意ですね。痛みは取れたけど、胃潰瘍、じゃ悲しいですね。

なんだか作用が違うみたいだし、薬が効かない時は、もう1種類足すのはダメなの?

NSAIDsはみなCOXを阻害する薬ですから、2種飲んでも、胃粘膜障害などの副作用リスクが増すのみです。他のNSAIDsにして最大量投与しても効果が不十分ならば、COXがすでにNSAIDsで飽和していると考えて、元の量に戻すか、別の作用機序をもつ薬に変更したほうが良いです。

あれ?
そういえば、カロナールはどうなの?
痛み止めだよね?

⚫︎アセトアミノフェン(カロナール)
古くから(1878~)ある薬なのですが、詳しい作用機序がはっきりわかっていません。解熱、鎮痛作用はあるものの、抗炎症作用はない・・・・・・・とされています。
想定される作用機序としては、アセトアミノフェンは脊髄後角でのセロトニン放出を増加させて、痛みを伝える神経伝達物質の生産や放出を抑制し、シナプス伝達を抑えて、痛みを軽減していると考えられています。
内因性マリファナ(人体で自然に生成されるカンナビノイド化合物)を増加させる働きがあり、カンナビノイド受容体を刺激して、GABAを低下させてセロトニン放出を促し、鎮痛します。
なお、COX阻害作用は弱く、そのため消化器の副作用が少ないとされます。

カンナビノイドって、大麻のあれ?
流行ってるCBDオイル?

そう。
カンナビノイドの受容体が刺激されると、シナプスにセロトニンが放出されて鎮痛作用が期待できます。CBDオイルも上手に使いたいですね。

痛みの神経伝達物質が放出されるのを抑える

脊髄後角で神経伝達物質が放出されて、次の神経に痛み情報が伝わる。この乗り換えをさせないために、神経伝達物質が出ないようにしたい。

神経伝達物質の出方

痛みの活動電位が脊髄後角に到達すると、シナプス間隙に神経伝達物質のグルタミン酸や、サブスタンスPが放出されます。この放出には、神経終末内部のカルシウム濃度が上昇する必要があります。カルシウムが流入してくるチャンネルがあって、ここにカルシウムが入らなければ、濃度も上がらず、伝達物質は出ないので、痛みの伝達を抑制できます。

このカルシウムチャンネルを閉じてくれるお薬がこれ。

☞プレガバリン(リリカ、タリージェ)

普通じゃない痛みに

普通じゃない痛みとは・・

長引く痛み 弱い刺激なのに強く感じる 
何もしなくても痛い 痛くないはずなのに痛い 
周りまで痛い 
など 

これらが通常の回復期間を経ても続くとき、カルシウムを通すチャンネルが開き過ぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・た状態にあります。容易にカルシウムを通してしまい、痛みが伝播してしまう。

プレガバリン(リリカ、タリージェ)は、この異常に開いているカルシウムチャンネルに作用します。開きすぎていないチャンネルには作用しないため、普通の痛み、の人には効果がなく、普通じゃない痛み、の時に有効です。

痛みを抑制する物質を出させる

何かに集中していて、脳が刺激され活性化している時、脊髄後角で行われる痛み刺激の伝達を、抑えることができます。

脳が刺激されることで、痛みを抑制できるのです。

脳が刺激された状態とは?

それは、考える 見る 動く 話す などに集中した状態のことです。
例えば、スポーツの試合中など、他を忘れて何かに集中するとき、痛みを抑制できます

何かに集中している時、ノルアドレナリンや、セロトニンなどの鎮痛物質が脳幹から脊髄後角に送り込まれます。これによって、グルタミン酸やサブスタンスPの放出が抑えられ、痛みを抑えてくれます。

これは、痛みが持続して増強しすぎないように、自ら痛みを押さえ込むシステムの一つでもあります。

この脳から脊髄後角への痛み刺激を抑制するシステムを強化して、痛みを感じない状態にできる人もいます。
ヨガや瞑想の達人がそれです。
訓練によって、このフィードバックを活性化できるのです!

すごい!
でも達人って普通じゃないよね

無理じゃん

ならば・・・

脳からの下行性抑制で痛みを抑える薬

痛みが増強しないように、脳幹からの抑制を強めたいので・・

  • セロトニンやノルアドレナリンがしっかり作動してくれるように活性化する薬・・・・・・
    ノイロトロピン、オピオイド、抗うつ薬、アセトアミノフェン、
  • セロトニンやノルアドレナリンが低下しないように再取り込みを押さえる薬・・・・・・・・・・・
    サインバルタ、トラマドール、ペンタドール、抗うつ薬

これらのお薬を状況に応じて処方します。

鍼灸もこの抑制経路を活性化して鎮痛させています。

へええー

BREAK

痛い所をつい摩ってしまう理由

痛み刺激は脊髄後角に到達すると同時に、痛みを抑制するSG(substantia gelatinosa)細胞を抑え込みます。痛みは抑制されずに、脳に到達して痛みを感じます。しかし、痛い部分の皮膚を摩ったり抑えたりすると、触覚を伝える神経が刺激されて・・・・・・・・・・・・・・、脊髄後角でSG細胞を刺激して痛みが脳に伝わりにくく作用します。摩ると痛みが減弱する。触覚刺激を利用することで、痛みが脳に伝わるのを、脊髄で抑えているのです。

手で圧すだけより、摩って、振動を伴う方が刺激になるので、鎮痛効果が大きくなりますよ。

摩るって、ちゃんと意味があったんだ〜

つまり
薬以外で痛みを減らしたかったら・・

  • 肉体的、精神的に何かに超熱中、集中する
  • 瞑想、ヨガ
  • 鍼灸治療
  • 摩る

などなどが有効ってことになります。

痛くなったら、とりあえず摩って、別のことに集中するわ

不安が強い人は痛みやすい

不安が強いと、大脳辺縁系からの鎮痛の流れが抑制されるため、痛みを伝える神経が刺激されやすくなり、痛みを感じやすくなります。

不安とは、予測できる危機や恐怖を察して、それに備えようと全身が準備している状態ですから、軽微な痛みも強く感じる傾向があります。また、不安なときは、筋肉の緊張が増加する傾向にありますから、筋肉の痛み、不快感も感じやすい。

過度な不安を軽減することは、痛みやすさを軽減することになります。

では不安が強いとはどんな状態でしょうか

理由は多々あれど、
体内のセロトニンが低く、コルチゾールが高い状態にあります。

セロトニンが低いと?
  • 不安や鬱症状
  • 情緒不安定 
  • 睡眠障害 
  • 食欲制御の異常 
  • 集中力低下 
  • 幸福感の低下
セロトニンが低くなるのは
  • 腸内環境が悪い
  • 太陽にあたっていない
  • ふれあい不足
  • 運動不足
  • 鉄欠乏
  • 甘いもの、アルコール摂り過ぎ など

セロトニンを増やす方法、減りやすい人については☞こちらの記事もどうぞ。

コルチゾールが高い時って?
それは何かしらのストレスにさらされている状態。
ストレスというのは・・
▪️精神的なストレス
(不安、うつ、仕事のプレッシャー、人間関係の問題など)
▪️身体的なストレス
(炎症、感染、怪我、病気など)
 
コルチゾールはストレスに応答して、身体反応を調節する働きがあります。炎症を抑えたり、血糖値を上げて戦い(問題)に備えたりします。

ってことは、つまり・・

どこかに炎症があったり、ストレスにさらされ続けていて、かつ、お腹の調子が悪いなら、痛みを強く感じやすい、ってことです。

やだ、どこかに炎症って何?

歯槽膿漏、歯肉炎、咽頭炎、副鼻腔炎、腸内カンジダ、などですね。病院に行くほどでもない、と、見過ごされがちな炎症が、メンタルにも影響しているかもですよ。

えー

首腰の『こり』って何?

首こり、ってなんで治らないの?
もうずっと痛いのよ〜

筋肉を収縮させる神経の活性化が原因です。

筋肉には、脊髄から来る・・運動神経と、脊髄に戻っていく・・・・・感覚神経があります。

  • 運動神経 
    脊髄から来る運動神経の刺激で、筋肉が収縮します。
  • 感覚神経 
    筋肉の中にある筋紡錘というセンサーが、筋肉の動きを察知。この情報は感覚神経を伝って、脊髄に伝わります。

筋肉が硬くなる『こる』仕組み

筋肉が運動神経の刺激で、伸びると、筋紡錘が伸びを察知して、脊髄に刺激が伝わり、今度は筋肉を収縮させる刺激となります。

収縮すると、体が動く。通常は、伸びたら、縮む。

しかし、
筋肉が伸ばされたのに、体が動かないとしたら?筋紡錘は伸びたから収縮させたいのに、体は動かず収縮しないので、収縮命令が、出続けます。これは、筋肉が緊張して、突っ張った状態、筋肉が硬くなった状態、が続くということになります。

こうなると、筋肉の緊張した場所では血管は圧迫され、血流は滞り、発痛物質が出始めます。

筋肉の緊張状態を作り出すのは・・・

  • 無理な荷重による負荷
  • 単調動作の繰り返し
  • 不適切な姿勢の保持
  • これらを長時間

痛みのサイクルを断ち切りたい

慣れない運動や、強すぎる負荷、無理な姿勢、は発痛物質によって神経繊維を活性化させ、痛みの悪循環がスタートします。筋肉の長さが変わらないのに、収縮命令が出続けることによって、筋肉の内圧が上昇すると、どんどん筋肉は硬くなり、痛みも持続します。

この負のサイクルを断ち切るには?

筋紡錘からのサインが脊髄から運動神経に届かなければ、筋肉は収縮することがないので、筋肉が緊張して内圧が高まり、痛みを引き起こすことはない。
ならば、
この運動神経の活性化を抑えれば良い、ということになります。

筋肉の収縮を抑制する薬

運動神経を抑えて、筋紡錘の感受性を抑制する薬
☞ミオナール リンラキサーなど

筋肉に直接作用するのではなく、運動神経に作用して、間接的に筋肉の緊張を抑制します。

ストレッチはなぜ良いか

ゆっくりした筋肉の伸縮動作の繰り返しによって、筋肉が伸ばされたら縮む一連の伸縮反射が低下します。すると脊髄レベルで神経の活性化が抑制されて筋緊張が緩まる。

つまり

筋肉の短縮、伸張を直し、左右前後の筋肉のアンバランスをなくすために、常にストレッチを行うことが最重要となります。偏らない姿勢を保持するための筋トレも有効です。

日頃から、ストレッチや筋トレで鍛えたり、一部の筋肉に長時間負荷がかかることがないようにしたいですね。

わかっているけど・・

トリガーポイント注射って何?

痛みをもたらす元になっている発痛点をトリガーポイントと呼ぶ。ここに局所麻酔薬を注射して、鎮痛を図る処置がトリガーポイント注射。

これは、何をしているのかというと・・・

  • 痛み部位の神経終末が注射でブロックされ、痛み刺激を伝える神経の活動が抑制。これにより、脊髄後角への刺激が減少するので、痛みも減る。
  • これと同時に、筋肉を収縮させる神経の出力も低下して、筋肉の緊張が緩む
  • 脊髄レベルでの反射による交感神経細胞の緊張低下により、血流が改善される
  • 血流改善により、発痛物質の産生低下滞っていた乳酸などが代謝される。

つまり、
痛いところに打つトリガーポイント注射は、痛みが伝わるのを抑えて、筋肉の緊張を緩め、血流の改善が期待できて、発痛物質の産生を抑えてくれる、原因部分に直接働きかける療法といえます。

痛みを我慢し続けるとどうなる

薬は痛みを感じさないように、いろんな場所で痛みが伝わるのを抑えてくれるのです。

・・でもやっぱり、薬には頼りたくないわ
我慢で乗り切れるなら、
その方が副作用もないから良いでしょ?

ですよね。

でも、我慢しすぎると・・
脊髄が痛みを忘れずに記憶してしまうことがあります

痛みの記憶

痛みの刺激は、何度も繰り返されると、徐々に増していく、という性質があります

繰り返すことで、脊髄後角での刺激が伝わりやすくなります。これが続くと、脊髄後角で乗り換えた後の神経が過敏状態になり、小さな刺激だったとしても、大きな刺激として伝わって痛みが増悪します。痛みの刺激がなくても痛い、という状態も起こりえます。

痛みの原因は早めに取り除いた方が良いです。

また、痛みが常にある、反復されている状態というのは、脊髄後角に何度も何度も痛みを覚えさせている状態とも言えます
記憶がしっかり定着してしまえば、容易に痛みやすくなります

痛みを記憶させないために

痛みを長引かせない、慢性疼痛を作らないためにも、痛みを感じない期間を作って、痛みを記憶させないようにします。

これは、我慢しすぎると・・・・・・・、いつまでも痛みが残り続ける可能性があるということです。

苦手な人も、離れていれば、刺激されることなく、自然に忘れてしまう。痛みも同様。繰り返し痛みを感じないようにすることも大切なんです。

じゃあ
すぐにお薬飲んだ方が良いの?

お薬推奨ではありません。

ただ、薬が必要なときに我慢しすぎないことも大切。

薬には副作用がありますから、上手に使いたいですね。

脊髄後角で、神経伝達物質の受け渡しをする際に、NMDA受容体からカルシウムが流入することによって、痛みが脳へ伝わります。

痛みの伝達を抑えるには、このカルシウムのチャンネルを開きすぎないようにする必要があります。開きすぎると、痛みが増強してしまいます。
このチャンネルの調節をしてくれるのが・・

  • マグネシウム
  • グリシン
  • オメガ3系脂肪酸
  • 亜鉛

と言われています

鎮痛に必要な栄養素
  • マグネシウム
    普段はこのチャンネルからカルシウムが入らないように蓋の役割をしています。マグネシウムの蓋があれば、刺激が不要に伝わらないようにできます。
    ☞海藻、アオサ、ナッツ、全粒穀物
  • グリシン
    NMDA受容体に結合して、グルタミン酸(発痛物質)の作用を抑制して、神経伝達の調整に関与します。
    ☞牛すじ、鶏軟骨、えび、かに、豚足、
  • オメガ3脂肪酸
    NMDA受容体の活性を調整して、神経保護作用をもたらす可能性が示唆されています。
    ☞青魚、亜麻仁油 紫蘇油 チアシード 胡桃 
  • 亜鉛
    NMDA受容体に結合して、神経伝達を調節します。
    ☞貝類、ナッツ、豆、穀物、肉、

これらの栄養が常に、満たされた状態でいたいですね。

マグネシウムはストレスで尿に出ていってしまいますから、痛い時は、尚更、積極的に取り入れたいですね。

マグネシウムの取り入れ方については☞こちらもどうぞ。

サプリで痛みに有効なものってあるの?

痛みを緩和するために取りたいサプリメント

  • グリシン 
    NMDA受容体からのカルシウム流入を調整して痛みを緩めます。
  • マグネシウム 
    筋肉の収縮弛緩、心臓のリズム調節にも必要なミネラル。マグネシウム不足により、筋肉の収縮調整がうまくいかなくなり、緊張、痛みに繋がります。NMDA受容体の調整で痛みを緩める。また、マグネシウムは抗炎症作用もあり、慢性炎症にも有効。取りすぎるマグネシウム(サプリで1回にまとめて500mgなどとると)で下痢や吐き気など出る場合がありますから取り過ぎには注意。
  • 亜鉛 
    抗炎症作用。痛みの伝達や感覚の調整に関与。NMDA受容体の調整で鎮痛。
  • オメガ3系脂肪酸 
    NMDA受容体の調整と、神経保護作用。
  • MNM 
    抗炎症作用と 神経伝達物質の合成と分解を調整することで、鎮痛作用。
  • コンドロイチン硫酸 
    抗炎症作用、神経伝達物質の調整作用。
  • ターメリック=クルクミン 
    抗炎症作用、神経保護作用、神経伝達物質の調節による鎮痛。

痛みを緩和するために試してみたい

痛い時だけじゃなくて、リラックスにも使えるので、

オイルはおすすめ。

CBDオイル

最近では、コスメショップなどにもCBDオイルの商品を見かけるようになりました。

CBDとは、大麻草(カンナビス)に含まれる、化学活性物質であるカンナビノイドの一種であるカンナビジオール(Cannabidiol🟰CBD)のことです。

この植物性のカンナビノイドは、人体がもともと産生する内因性のカンナビノイドと同じ受容体に結合することで、恒常性維持機能・・・・・・・を発揮します

CBDの受容体はどこにあるのか

神経細胞 免疫細胞 造血細胞 
脂肪細胞 筋骨格系 脳 
脾臓 腸管 肺 肝臓
 腎臓 内分泌器官 生殖器
 心臓血管系 
などなど

全身の組織にくまなく分布していますあらゆる生態の機能を制御しています。

CBDの作用とは?

  • 抗炎症作用
  • 免疫調整作用
  • 代謝調整作用
  • 抗酸化作用
  • 抗菌作用
  • 神経保護作用
  • 感染症予防

さらに、CBDは血液脳関門も通過できます。

特に、脳は、体内で最もCBD受容体の密度が高く、数も一番多い臓器です。脳内の、過剰興奮過程を調整することで、疼痛知覚・・・・、気分、記憶、学習、食欲、高次の認知機能、なども調整します。てんかんや、そのほかの発作性疾患の治療にもCBDが併用されています。
イライラ気分や、緊張を落ちつかせたい時、瞑想前、入眠前に使用する人も増えてきましたね。

すごい!
でも、どんなCBDを買えば良いの?
色々な種類が売っていて良くわからないわ

CBDを買うなら?

  • ブロードスペクトラム
  • オーガニック
  • 成分分析表が付いているもの

が良いでしょう。
漢方薬は、さまざまな生薬が相互に関与しあって、単体で摂取するよりも、より良い薬効をもたらします。CBDも同様で、CBDのみを取り出して、オリーブオイルなどに溶かしたもの(アイソレート)よりも、大麻草の成分全ての中から、禁止されているTHC以外の成分をできるだけ残した(ブロードスペクトラム)もののほうが、臨床効果が高いとされています。

※THCとは、大麻草の樹脂に含まれるカンナビノイドの一種。多幸感と陶酔感を生む作用が有名。中毒性や乱用のリスクがあり、販売は禁止されています。

では、CBDの摂取方法は?

舌の裏で粘膜から吸収させるのが、最も効率よく、胃酸や肝臓の代謝の影響を受けずに、脳へ到達します

リラックスに使ってみたいんだけど

少量だと、覚醒して頭スッキリ、量を増やすとリラックスできます。ただ、CBDの効果は個人差が大きいため、まずは、少量から始め、量を徐々にあげていきます。自分に合った量を探します。日中少量で試すのが良いかもです。最初は5〜10mgを1日1回から始めるくらいで良いのでは?

癖にならない?

コーヒーや、お酒を辞めるより簡単といわれています。

中毒性はほぼないと考えて良いですよ。

アロマオイル

アロマオイルを軽い痛みや、繰り返す生理痛、頭痛などの治療に、併用するのも良いですね。 

  • ラベンダー 
    鎮痛鎮静作用、抗不安作用、殺菌作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、
    ラベンダーに含まれる酢酸リナリルの効果でセロトニンが分泌されて、鎮痛作用をもたらします。
  • フランキンセンス 
    抗炎症作用、抗酸化作用、免疫調整作用、鎮痛作用、
    古代から使用されてきたハーブで、痛みや炎症に有効。フランキンセンスに含まれるボスウェリンは、神経伝達物質の放出や、興奮した神経を抑制することで、痛みの伝達と知覚を調整してくれます。

まとめ:痛みに対してできること

Boswellia:Frankincense.
痛みのために取り入れたい
  • グリシン 
  • マグネシウム 
  • 亜鉛 
  • オメガ3系脂肪酸 
  • MNM 
  • コンドロイチン硫酸 
  • ターメリック=クルクミン 
  • CBDオイル
  • アロマオイル 
    ラベンダー フランキンセンス
痛みを感じやすい状態にしないために
  • ストレスから逃げる
  • 瞑想の習慣化
  • 炎症があれば対処
  • 腸内環境改善
  • 太陽に当たる
  • 適度な運動習慣
  • 笑顔 深呼吸 

痛み止めのを飲む時に、『どうせ大して効かないでしょ』と期待薄で飲む場合と、『良い薬だから効くんだ』と期待感に溢れている場合では、効果に差が出ますよ。

気のせいじゃなくて?

期待や希望があると、内因性モルヒネ様物質(エンドルフィン)が出るんです。エンドルフィンは、神経伝達物質のひとつで、ストレスや痛みを調節し、快感や幸福感をもたらします。

ですから、ネガティブな性格の人は、自前の鎮痛物質が出にくく、薬の鎮痛効果も少なくなるってことです。

ポジティブな方が、薬が効くのね!

覚えとこ。

参考図書;
痛みの考え方 丸山一男 南江堂2016
WHAT IS CBD? doctors guide The therapeutic potential of CBD、Henry Vincenty,2018

タイトルとURLをコピーしました