ビタミンDを摂っても上がらない?☞脂質を上手く吸収させる方法解説

栄養・健康

ビタミンDのサプリ飲んでいるのに、
採血しても上がらないのよ。

効いてないじゃん!

どうして?

ビタミンDのような脂溶性ビタミンが吸収されない場合、

ビタミンDだけでなく、

脂質全般の吸収がうまくいっていないかもしれません。

頑張ってサプリを続けて摂っていても、何故血液検査に反映しないのでしょうか。

ビタミンDが、口から入ってから吸収される時に必須の胆汁酸が、
少ないかもしれません。

胆汁酸が十分に分泌されるためにできる生活のコツ、
と食材について解説しました。

胆汁酸がしっかり出ると、胃もたれしづらく、
お肉を美味しく食べられますよ!

忙しい方はハイライトした箇所だけ目を通してください。

ビタミンDはどこで吸収されるのか

ビタミンDの吸収から利用までザックリ

食事やサプリでとったビタミンDは脂溶性なので水に溶けません。

このままの形では細胞の中に入っていけませんから、
まず十二指腸で胆嚢から出てきた胆汁酸の働きによって、
水に溶けるようにミセル化(乳化)されて、腸から吸収されます。

その後、約4割のビタミンDはキロミクロン;C Mという
脂質輸送タンパク質によって、残りはビタミンD結合タンパク質によって、
リンパ管経由で肝臓へ運ばれます。

肝臓や腎臓で水酸化されて
最終的に活性型の1,25-ビタミンD3に変化して、
体内で利用されます。

ビタミンDは活性化して初めて働けるようになります。
主な作用は、カルシウムの血中濃度を上げたり、
骨代謝を活性化したりします。

ビタミンDなどの脂質は、胆汁酸の働きで吸収されています。
胆汁酸が少なければ十分に吸収されませんから、
その先の活性化して働けるビタミンDにはなれません。

胆汁酸がないと、

油を体の中に吸収できないのね。

はい、ないと困ります。

胆汁酸とは何なのか知りたくなってきましたね!

油の吸収に必要な胆汁酸って何なの?

胆汁酸は胆汁の主要成分で、脂質を水に溶ける形に変えます。

胆汁は肝臓で作られます

97%は水分で、残り数%の主要成分は、
コレステロールから合成される胆汁酸と胆汁色素です。

胆汁色素は、使用済み赤血球内のヘモグロビンの分解産物である
ビリルビンが主成分となっています。

胆汁酸は胆嚢の中に溜められています。
胆嚢の中では水分が減り、約5〜10倍程度に濃縮されて、
量は50〜60ml程度になっています。

便の色は赤血球の残骸ビリルビンの色:黄色がベース
胆汁色素には、赤血球のヘモグロビンが壊れて、ビリルビンとなって入っています。
この色が黄色。一部は便から排泄されるので、健康な便の色は黄褐色〜茶褐色。
ですから、胆汁が出ない人の便は白。

えー!白!

胆汁酸はコレステロールから作って、ほぼ使い回し。

胆汁は肝臓で、コレステロールを材料にして1日1リットルほど作ります。

この時チトクロムP450という酵素が必要なのですが、
この酵素の中に鉄が含まれます。

鉄不足だと、この酵素が作れないから、
胆汁も作れない、ということ。
貧血があると、
油の消化が弱くなり易い
ってことになります。

作った胆汁酸は腸肝循環をして、95%再利用されています。

胆汁酸を使い回す仕組み:腸肝循環について

肝臓で作られた胆汁酸は、タウリンやグリシンと抱合体を作り、
1次胆汁酸となって無毒化された状態で、腸管内に分泌されます。

腸管内で、腸内細菌の働きにより抱合されて、
タウリンやグリシンと離れて、二次胆汁酸となり、
95%回腸から再吸収されます。

門脈経由で肝臓に戻って、再び、胆汁酸の材料に利用されます。

腸内細菌の状態が悪いと、一次胆汁酸に抱合している、

タウリンやグリシンを抱合できず、
胆汁酸の再利用もできません。

お腹が弱いことで、
さらに脂肪の吸収も悪くなる
ということ。

悪循環だわ。

胆汁酸を作るときに必要になる材料は主に3つ

  • コレステロール 
    胆汁酸の基本材料
  • タウリン 
    胆汁酸と結合して脂肪の消化を助ける。
    硫黄を含むアミノ酸。
    タウリンは胆汁酸と抱合する性質があるので、
    タウリンが増えると、胆汁酸を増やす必要があるため、
    コレステロールが動員されます。
    結果的にコレステロール値は下がります。
    ⭐︎タウリンは食べる時、熱を通すと半分程度に減ってしまいます。
    煮ると煮汁に出てしまいます。
    いか たこ 牡蠣など貝類に多く含まれる

タウリン全部摂りたいなら煮汁ごと飲むのか・・

タウリンはその他 

肝臓機能を強化したり、

解毒を促したり、

アルコールの代謝を高めます。

目の新陳代謝を促進したり

動脈硬化、高血圧、むくみ、を予防する

効果もありますよ

  • グリシン 
    アミノ酸の一種
    脳内のセロトニンを増加させる働き。
    セロトニンからメラトニンが作られるので、不眠にも有効。
    抗鬱効果。
    牛すじ えびかに 豚足に多く含まれます。

主な胆汁酸の働き5個

胆汁酸の仕事は、脂肪を吸収しやすくする、
だけではありません。
腸の中の抗菌作用や、脂質や糖代謝を調節したり、
大腸の動きを促進したりしています。

  1. コレステロールを排泄
    胆汁酸を作る際に、コレステロールが材料として使われる。
    98%は再利用されるが、残りの2%は糞便中に排泄される。
    コレステロールの排泄経路。
  2. 脂肪のミセル化
    脂肪を水に溶ける形に変えて、腸から吸収させます。
  3. 腸の抗菌作用 
    胆汁酸の界面活性剤作用によって、腸の抗菌作用が期待できる
  4. 脂質代謝、糖代謝の調節
    胆汁酸は、生体内でシグナル伝達物質として働き、
    脂質代謝や糖代謝の調節など
    さまざまな生体反応に関与することがわかってきています。
  5. 大腸の蠕動運動を促進
    胃や小腸の動きを抑えますが、大腸に胆汁酸が接触すると、
    大腸の蠕動運動が促進されます。

甲状腺と胆汁酸の関係

甲状腺機能が低下すると さまざまな代謝が低下します。
胆汁の材料であるコレステロールが代謝されないので、
胆汁中のコレステロールが増加して飽和状態に。
そうなると、胆嚢の収縮機能も低下し、
胆汁も上手く出ませんから、胆石の原因になります。
また、胆汁の分泌が悪いと、
脂質の吸収もできないので、
甲状腺ホルモンも活性化できず、
機能低下をさらに助長します。

いつも胃もたれするな、と思ったら、

甲状腺機能低下が隠れていることもあるかもしれません。

胆汁酸が少ないとどうなるのか

脂溶性ビタミンや脂質の消化吸収ができないことは深刻です。

胆汁酸が少ない=脂質の吸収が下手=コレステロールが低い、
というのは、細胞膜を作る材料が枯渇している、ということ。

体全ての細胞膜は脂質によって質を保っており、
特に脳や神経に脂質が多い
から大切なのです。

ええええ
胆汁酸ちゃんと出てほしい!

さらに、

胆汁酸は病原性の腸内細菌が腸内で増殖するのを
抑制する働きがあります。
胆汁酸が十分なければ、悪玉菌が増えやすく、
SIBOやリーキーガット症候群を招くことにもなります。

●SIBO 
☞小腸の中に、細菌が急増してガスを産生。
お腹が張り、腹痛や下痢便秘の原因になる。
●リーキーガット症候群
☞腸壁に炎症をきたし、
未消化物や、毒素、などが漏れ出して、
血中に侵入してしまう状態。
アレルギーの原因を作ります。

では、
脂っこいものを食べて胃もたれするのは

歳のせいかしら?

脂っこいもので胃がもたれる理由

食べた脂質が十二指腸に入ってくると、
消化管ホルモンが分泌されて、胆嚢を収縮させて、
胆汁を分泌します。
この時、同時に胃酸の分泌を抑えて、
胃の蠕動運動を抑制する働きがあります。

脂質を乳化して吸収しやすくするために、
脂肪が小腸を通りすぎるまで、胃の運動は抑えられています。
腸壁に接触した胆汁酸が大腸の蠕動運動を促進して、
通過時間を短縮します。

この間、他のタンパク質や炭水化物が
胃から十二指腸に降りてこないようになっています。
しっかり胆汁酸が出ないと、通過に時間を要して、
胃の運動は抑制されたまま。

食べても、胃がうごかずに、ご飯がたまるだけなので、
重たい感じ、胃がもたれた感じ、がします。

脂質を美味しく食べるには、
胆汁酸がしっかり出ていることが必須です。
胆汁酸をつくるのにも脂質が必要です。
脂質の代謝が良い人は、
年齢問わず、胃もたれしずらいです

肝臓の機能は30〜40代がピーク。
年を経ると、胆汁酸の分泌も不足して、
昔より油物が食べられない、と感じる人は多いですね。

えーーやだ。

いつまでも霜降り和牛とか天ぷらとか
食べたいんですけど。
どうにかして、胆汁酸を増やす方法ないわけ?

胆汁酸を増やすために家でできること

まずはコレステロールを下げないこと!
胆汁酸の材料であるコレステロールを下げないことが先決です。

☝︎ただ、胆汁酸が少ない人は、脂質を食べても、
そもそも吸収が悪いので、無理しないように。
一気に食べず、少しずつ食べながら、
コレステロールを最適な量まで上げたいですね。

難しいのね。

胆汁酸を出す食べ方は普通「よく噛んでリラックス」

副交感神経優位の状態で、消化機能が最大限発揮されます。

なので・・

食べ方基本はごく普通
  • よく噛む
  • リラックスしてゆっくり食べる
  • 早食いはダメ
  • イライラしないで穏やかに過ごす

急いで、あまり噛まずに飲み込む
早食いは 最悪です。
せっかくの食材が吸収しずらいばかりか、
胃腸に負担をかけます!

早食い!最悪!!

胆汁酸を出すために取り入れたい食材

2022の報告です。ハーブの胆汁酸分泌に与える影響の論文です。

クミン、コリアンダー、アジョワン、フェンネル、ミント、
ニンニク、で、胆汁中の胆汁酸含有量への影響を調査。
特にクミン、アジョワン、ニンニクで、胆汁流量が大幅に増加した。
ニンニク以外の、クミン、コリアンダー、アジョワン、
フェンネル、ミントで、胆汁酸の分泌速度が著しく高くなった。

A pronouncedly higher rate of secretion of bile acids was caused by all the test spices except garlic, compared to control, both in dietary treatment as well as in single oral dosage of the spice. Higher rate of bile acids secretion would probably contribute to the digestive stimulant action of the test spices.

Platel, K., et al. Stimulatory influence of select spices on bile secretion in rats. Nutrition Research, 2000;20(10): 1493-1503.

取り入れたいもの

  • クミン 
    セリ科 カレーの香りはクミン 漢方では胃腸薬として使用
  • コリアンダー 
    セリ科 =シャンツアイ、パクチー
  • アジョワン 
    セリ科 =ワイルドセロリシード 
    湿布のような香り 
    殺菌、抗菌、抗炎症作用があるとされ、
    アーユルベーダでは、治療薬として利用 
    家庭では胃腸薬としても使用。
    スパイスミックスのガラムマサラにも入っています。

ガラムマサラは普段のカレーに、
一振りで、本格的な香りがなかなか良いです。

いきなりインドカレーは無理だけど、
ガラムマサラ振るだけならできそう。

  • フェンネル インド版マウスウォッシュ 

フェンネルはインド料理屋さんのレジの横に

置いてあることが多くて、

ご自由にどうぞとなっていることがあります。

一つまみで口の中がスッキリ。

ああ

あれ食べていいやつだったのか!

  • ニンニク
  • ミント 
    3000種以上あります。
    ハッカやペパーミント、スペアミントが汎用性が高い。
    ハッカとペパーミントは主成分がメントールで刺激的。
    スペアミントの主成分はリネモンとカルボンで、
    ペパーミントより繊細。
    漢方では、解熱、発汗、健胃の目的で使用

つまり、カレー?

日本の小麦の入ったルーで作るカレー、
じゃなくて、

香辛料から作るカレー。
カレーには薬効のあるハーブが
たくさん入っていますね。
胆汁酸分泌に良いものがたくさんとれますね!

ox bile:牛の胆汁サプリメント

牛の胆汁のサプリメント。
胆汁生成を促す。脂肪の吸収を助けます。

iHerbにも売ってますね。

色々食事や食べ方を修正して、

それでも吸収が悪いと感じるなら、

お試しを。
油多めの食事の時だけ飲んで、
脂肪の消化吸収をサポートしてもらう
のもオススメ。

牛!?

まとめ:脂質を上手く吸収するために家でできること 

早食いせず、ゆっくり食べ、穏やかに暮らす。
ハーブを上手く取り入れ、時にはサプリも検討。
何より、コレステロールが低い人は、すぐには胆汁酸も
増えませんから、少しずつ、腸の状態を見ながら
改善していきましょう。

脂質を吸収するためにできること
  • コレステロールを下げない。(油を制限しすぎない!)
  • リラックスしてよく噛みゆっくり食べる。早食いしない。
  • 穏やかに暮らす
取り入れたい食材
  • タウリン 
    ☞いか たこ 牡蠣 など貝類
  • グリシン 
    ☞牛すじ えび かに 豚足
  • クミン
  • コリアンダー
  • アジョワン
  • フェンネル
  • ミント
  • ニンニク

注意☝︎ニンニク☝︎
小腸で吸収されにくい食材をまとめて、
FODMAP食材といいますが、
ニンニクはFODMAP食材になります。
人によっては、消化吸収されず、
お腹がゴロゴロしたり、痛くなったり、
腹部膨満感や、ガス、便秘、下痢を起こすことがあります。
低コレステロールの人は、胆汁酸も少なく、
消化が弱い傾向にあるため、特に食べ過ぎには注意。
もしくは、胃腸の症状が落ち着くまでは、

ニンニクは避けても良いと思います。

お腹の調子が一定じゃない、過敏性腸症候群のある人、
いつもスッキリしない、下痢、便秘、膨満感、
など不調の自覚がある人は、
FODMAP食材を選ぶようにして、

様子を見ると良いですね。

FODMAP:小腸で消化吸収されにくく、
大腸で発酵する糖質の総称。
F(Farmentable)発酵性の〜
O(oligosaccharides)オリゴ糖
納豆 きな粉 ごぼう 玉ねぎ えんどう豆
ニンニク 小麦 豆腐 レンズ豆 ひよこ豆
D(disaccharides)二糖類
牛乳 ヨーグルト アイスクリーム
M(monosaccharide)単糖類
ハチミツ 果物
And
P (polyols)糖アルコール
プルーン いちじく マッシュルーム 
キシリトール カリフラワー 果物

ゆっくりカレー食べます。

FODMAP注意しつつ。

コレステロールが低い人は、

一気に脂質の量を増やさないように。

吸収がそもそも下手ですから、

調子を崩すかもしれません。

無理せず、少しずつ。
ハーブの力も借ります。

脂質の代謝がうまく回ると、
ビタミンも良い仕事をしてくれますよ。

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