尿酸値が高めと言われたら、あなたがするべき対策法5つ

栄養・健康

健康診断で尿酸値が高めと言われたら・・・・

もう美味しいものが食べられないの?

薬を一生飲まないといけないの?

焼酎ならいいんでしょ、

忙しくて病院何ていけないのに!

痛風になったらどうしよう!

できることはないの?

不安でいっぱいになりますね。

尿酸高値の原因は、2割は食事から、残りの8割は体質、と言われています。

つまり、いくら食事で尿酸を作り出すプリン体を減らしたとしても、

尿酸が増えやすい体質ならば、尿酸値はなかなか下がらない、ということです。

では体質だから仕方がないのでしょうか?

尿酸値は食事の工夫と生活習慣の改善で、下げることができます。

これから尿酸値を下げる方法5つを説明しますので、最後まで是非お付き合いください。

読み終えたら、漠然とした不安は緩まり、やるべきことが見えてくるはずです。

尿酸値を下げる方法5つ

  1. 糖質の制限
  2. 運動の制限
  3. アルコールの制限
  4. プリン体を多く含む食材を控える
  5. 太らない

あーやっぱり。

生活習慣を変えろって言うんでしょ

できない、もう無理無理!

と言わず、忙しいあなたはハイライトした箇所だけで良いから目を通してほしい。

ただ知っているだけと、そうすべき理由を知っているのとでは、今後の行動に差が出るからです。

一つずつ、できるだけ簡単に説明していきます。

糖質の制限

 ●なぜ必要なのか

食事で摂取した糖質は、PDH(ピルビン酸脱水素酵素)という酵素の働きによって、エネルギーを作り出す回路に入ります。PDHの処理能力には限りがあって、それを超えた過剰の糖質は、エネルギーになれず乳酸に変わります。

尿酸は腎臓で排泄される際に、乳酸と同じ経路を使っています。互いに競合しますから、乳酸が多く排泄されると、尿酸を排泄できる量が減ります。尿酸が出せないので、尿酸値が上がります。

過剰な糖質は尿酸排泄を邪魔してしまうのです。

 ●どうしたらいいのか

ストイックな糖質制限は勧めません。長期にわたり続けることは難しいからです。

糖質を控えめにした生活習慣で、肥満も予防します。

1日に必要とされる糖質量は活動量に応じて変わりますが、1日座っている仕事の人で210g程度。

まずは緩めの糖質制限、1日130g1日3食として 1食40g程度を目標にします。

でも必要な糖質を取らないと、エネルギー不足になってしまうんじゃないの?

お腹空きそう。そんなに減らしちゃって大丈夫なわけ?

と思われるかもしれません。

1日の必要カロリーをしっかり摂取しているならば、糖質摂取が少なくても、脂肪を分解してエネルギーとして利用できますから大丈夫です。

1日70g以下にするような糖質制限(ケトジェニックダイエット)は、中には体調を崩す人もいますから、緩めが良いです。まずは1食の糖質40gを目安にするのが良いと思います。

実際の糖質量はご飯茶碗1杯で60g、うどん1玉で40g  程度なので、主食だけで40gを超えてしまいます。

糖質制限では主食を減らすことになりますが、ただ主食を減らすだけだと、その分1日のカロリー摂取量が不足してしまい、脂肪ではなく筋肉が落ちてしまいます。

主食を減らした分は、おかずでしっかり補うことが大切です。

 ●注意すること

尿酸値が高いのでお酒は辞めましたよ!

その代わり、毎日健康のために果汁100%ジュースを飲んでいるんですよ

と言う方、たまにいます。

果物ジュースや清涼飲飲料水に入っている果糖は吸収が速く、血糖を一気に上げて、尿酸値をあげる一因になってしまいます。また、尿酸が作られる過程を促進するのも果糖なのです。

果物はジュースではなく、できれば果肉で控えめに食べます。

激しい運動をやめる

 ●なぜ必要なのか

エネルギーを作り出すATP(アデノシン3リン酸)という物質が体中にあり、その中にはプリン体が入っています。

息が切れるような激しい運動では

  筋肉内のATPを分解する過程でプリン体が急激に上昇→尿酸値が上昇

  微細な筋肉繊維が部分的に破壊され、筋肉内に含まれている核酸が溶解し→尿酸値が上昇

  運動強度によって大量に発生した乳酸は、尿酸が排泄されるのを邪魔する→尿酸値の上昇

 ●どうしたらいいのか

息が切れないような、軽いジョギングやウォーキングにとどめます。ごく軽めの有酸素運動がおすすめです。

 ●注意すること

激しい運動(HIITなど)は時短で、効率よく筋肉のボリュームを増やせて良いのですが、尿酸値が高い方にはお勧めしません。翌日痛風発作を起こさないためにも。

アルコールの制限

 ●なぜ必要なのか

アルコールは代謝される際に、ATPを過剰消費するのでプリン体が急上昇します→尿酸値が上昇

大量の飲酒は高乳酸血症をきたし、尿酸が排泄されるのを邪魔します→尿酸値が上昇

さらにアルコールのもつ利尿作用で脱水傾向→尿酸排泄が低下→尿酸値が上昇

アルコールには尿酸の産生量を増やし、排泄を阻害する働きがあるということです。

お酒はプリン体の有無、種類にかかわらず、それ自体の代謝過程で尿酸値を上昇させます。

 ●どうしたらいいのか

ビールはダメだけど、焼酎はいいんでしょ?

ワインも大丈夫って聞いたんだけど。

どうしてもお酒だけは辞められない!

アルコールの適量20gを、種類別の飲酒量に換算すると
  • ビール5% 500ml    
  • 日本酒 1合 180ml
  • ワイン 180ml    
  • 25度の焼酎1/2杯 100ml  
  • ウイスキー ダブル1杯 60ml
  • チューハイ7% 缶1本 350ml

これを超えないようにしたいですね。

 ●注意すること

プリン体の少ないお酒ならOK、ではありません。アルコール自体が尿酸値を上げますので、プリン体とアルコールが入っていないならば、OKということですが、それはもはやお酒ではないかも。

お酒は種類によらず控えます。

止むを得ず飲む場合は適量を心がけ、週2日連続した休肝日をもうけましょう。

プリン体を控える

 ●なぜ必要なのか

プリン体は、ビール、魚卵、レバーだけでなく、肉類をはじめとする多くの食材に含まれています。

尿酸値が高いと、病院でよく痛風のパンフレットが配布されますが、これには、プリン体の多く含まれる食材が列記されています。尿酸を作り出す材料を体に入れないために、プリン体の多い食材を知っておき、控えることは大切です。

 ●どうしたらいいのか

  • プリン体の極めて高い食材を知る。
  • プリン体の極めて高い食材を避ける。
  • プリン体の低い方を選ぶ。
  • 食べ過ぎない。
  • 続けて食べない。

外食の際には、プリン体の低い方を選べるようにしましょう。

スマホですぐに “プリン体の多い食材の表” を見られるようにしておくと良いです。

また、尿をアルカリ性にすると、尿酸排泄が進み、尿路結石の防止や、腎臓を保護することができます。

野菜や海藻類を取るとアルカリ尿になりやすいです。多めに毎日の生活に取り入れます。

     お鍋の最後に煮汁で雑炊を食べる時は・・・

煮汁はいろいろな食材から溶け出したプリン体がたっぷり含まれた液体です。

尿酸値高めの人は控えめに!

 ●注意すること

食事で摂取したプリン体が尿酸値に影響するのは2割です。

過度にプリン体を避けるよりも、できるだけプリン体の低い方を選ぶ、ぐらいで丁度良いと思います。

なぜなら、プリン体を摂取しない食事を続けていると、自ずとタンパク質の摂取量が減ってしまうからです。タンパク質摂取量が低い状態が続けば、さらなる心身の不調の原因になってしまいます。

太らない

 ●なぜ必要なのか

皮下脂肪が溜まると尿酸は排泄しずらくなり、内臓脂肪が蓄積すれば作られる尿酸が増えます。

肥満でも尿酸値は上がってしまうのです。

さらに汗をよくかく人は、尿量が減って尿酸が排泄しずらくなります

肥満と診断された7割の人は、尿酸値が高くなる、もしくは既に高いと言われています。

 ●どうしたらいいのか

全ての人に有効なダイエット方法はありません。

食事内容、食べ方、ホルモン、ストレス、血糖コントロール、腸の状態、など肥満の原因が多岐に渡るからです。

ただ、これまで述べた尿酸値を下げる食事と生活習慣を実践してみてください。

  •  緩めの糖質制限(1食40g程度の糖質に留め、果糖は控える)
  •  尿をアルカリ性にするために野菜や海藻を食べる
  •  プリン体を控える
  •  アルコールを控える
  •  ウォーキングなどの軽い運動をする

これらを継続することは、生活習慣病の予防にもなっています。

 ●注意すること

1日に必要なカロリーをしっかり取ることです。1回の食事で満足感を得られないと、どこかで糖質のドカ食いをしてしまうかもしれません。

早食いはしません。食べ過ぎず、満腹感を得るために、時間をかけゆっくり噛み味わいます。

(具体的には、口の中で離乳食を作る感じ。そのぐらい噛んで欲しい、ということです)

食事が終了したら、ゆったりくつろがずに、すぐ立ち上がってください。すぐです。

そして20分ほど歩きます。食器類の片付けでも良いので、動きます。

外食からの帰宅時に1駅歩くのも良いですね。

食直後のごく軽い運動が血糖の上昇を抑えます。血糖が上昇しなければインスリン分泌も減り、脂肪も蓄積しずらくなります。

食べる時のポイント
  • 早食いしない
  • 食べ過ぎない
  • 噛みまくる
  • 食べ終えたらすぐ、20分動く

いつまで尿酸値を気にするのか

 一般には、60歳頃から尿酸産生量が低下傾向になり、70歳を超えると痛風患者さんはだいぶ減ります。

30代40代で尿酸値高めを指摘されることが多いので、その場合、30年以上尿酸値を注意する生活が続くことになります。

ですから、我慢せずに無理なく習慣化させることが大切です。

尿酸値高めを放置するとどうなるか

・痛風発作 

尿酸値が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節内に沈着します。

(初回発作の7割は第1足指の付け根に生じます)

結晶は異物なので、白血球が貪食しようと攻撃し、炎症反応が起こります。

この時関節が赤く腫れて、とても痛いです。

痛風発作ってものすごく痛いんでしょ。

そんなに痛くないなら痛風じゃないよね。

病院に行かなくても平気だよね?

大人男子が泣くほど痛い〜普通に歩けるけどちょっと痛いんです、位の人

まで 症状には個人差があります。

痛みが強くないからといって、痛風ではない、とも言えないのです。

1〜2週間で炎症はおさまりますが、白血球が頑張っても結晶は簡単に溶解せず、そこに残っています。

一度痛風発作を起こした人は、関節の中にできた尿酸結晶が消えるまで2年程かかり、

その間は再発のリスクが残っています。

尿酸値が急上昇したり、生活環境の変化などストレスが多くかかると、発作が再発します。

長く放置すれば、痛みが複数の関節にも生じるようになります。

尿酸値も低いし発作もないから大丈夫、と久しぶりにビールを飲んだら、

翌日痛風発作 で救急外来ヘ。

よくあります。

・腎機能障害 

尿酸結晶が腎臓に溜まれば腎機能が低下。進行すれば、人工透析が必要になります。

・尿路結石

尿酸の結晶は、酸性液中で固まる性質があります。尿が酸性に傾く尿酸値高めの人は、尿管に結石を作ることがあり、激しい痛みを伴います。

・高血圧、脳血管疾患、心臓血管疾患、慢性腎臓病、のリスクを高めます。

尿酸値とその治療目安

尿酸値7mg/dL以上を高尿酸血症と診断します。

理想値は4〜5mg/dLです。

痛風発作を起こしていない場合

尿酸値7〜8mg/dL台でも食事と生活習慣の改善で、痛風発作を抑えることができます。

9mg/dLを超える場合は投薬治療も検討します。

痛風発作を1度でも起こしたことがある場合

尿酸塩結晶が関節内にとどまっています。これを溶解させるためには、尿酸値6mg/dL以下を目標にします。結晶が消失するまで2年以上かかることもあり、この間は発作の可能性があります。

生活習慣の改善で下がらない場合は、投薬治療を検討します。

そもそも尿酸とは

尿酸は悪者と思われがちですが、実は人間の体内にある強力な抗酸化物質です

抗酸化とは、酸化ストレスで体が錆びていくのを抑えてくれる、大切な働きのことです。

尿酸値が高い状態は、多過ぎる酸化ストレスで体が錆びてしまわないように、尿酸を増やして今まさに頑張っている最中、ということ。

尿酸値が低い(3mg/dL以下)状態は、抗酸化力も弱いということ。低ければ良いわけではありません。

ここまでお話してきた、取り過ぎる糖質、激しい運動、アルコール摂取、肥満状態、もストレスです。

つまり、心身の様々な酸化ストレスを減らすことが、尿酸値を減らすこと、です。

尿酸値が高い人に必要な栄養素

酸化ストレスから体を守ってくれる抗酸化物質
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • ビタミンA
  • ビタミン B群

これらを積極的に取り入れます。

尿酸値を下げる生活習慣のまとめ

尿酸値を下げる生活習慣とは
  • 緩めの糖質制限(1食40g程度の糖質に留め、極端な制限をしない)
  • 果物は控える
  • 尿をアルカリ性にするために野菜や海藻を食べる
  • プリン体の極めて高い食材を避ける
  • アルコールを控える
  • 激しい運動をしない
  • 無理しない
  • ストレスから逃げる
  • 抗酸化作用のある栄養素を取り入れる。(ビタミンC、E、A、B群)

最後に

遺伝的素因、薬(利尿薬など)の副作用、腎機能低下、ホルモンの異常、白血病、悪性リンパ腫、化学療法中、などの核酸代謝の亢進する病態でも尿酸値は高くなります。

これらに当てはまる人や、ご家族に痛風の方がいて、遺伝的な影響がありそうな人は、生活習慣の見直しと、投薬が必要になることがあります。主治医と相談しましょう。

尿酸値高めの患者さんは日本に1000万人。そのうち痛風の患者さんは110万人。増え続けています。

30〜40台男性の約3割が尿酸値高めです。

将来の自分のために、できることから始めてみてください。

ここで提案した生活習慣を続けること自体が、

ストレスとなりませんことをお祈りしています。

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